『ゲド戦記(アースシー)』リメイク企画書(案)
1. 企画タイトル
『EARTHSEA:影(仮)』
サブタイトル例:「均衡の海」「影の名」「死者の国」(章構成に合わせて変更)
2. 企画概要(ログライン)
“名前”を失った天才少年ゲドが、自ら生んだ“影”と向き合い、世界の均衡と死の意味を学ぶ。
剣と魔法ではなく、言葉・沈黙・選択で進むファンタジー。
3. 企画意図(なぜ今やるか)
- 既存映像化は評価が割れやすく、原作ファンにとって「本来の核」が届ききっていない(=“取り返す価値”がある)。
ル=グウィン本人もジブリ版への所感を公式に残している。 - いま強いのは、派手さより 世界観の一貫性・テーマ性・キャラクターの内面 を最後まで描ける作品。
- 「多島海世界アースシー」を、海・風・距離で見せられれば差別化できる(既存映像化の弱点を正面から潰せる)。
4. 原作/権利整理(前提)
- 原作:アーシュラ・K・ル=グウィン『Earthsea(邦題:ゲド戦記)』シリーズ(1968–2001)
- 既存:スタジオジブリ映画『ゲド戦記』(2006)
- 2019年にA24とジェニファー・フォックスがTVシリーズ化を開発中と報道(=同一権利が進行中の可能性があるため、着手前に必ず権利クリア)。
結論:本企画は「ジブリ映画の作り直し」ではなく、原作準拠の“再映像化(リブート)” として設計する。
5. ターゲット
- コア:原作読者/ハイファンタジー好き(20–50代)
- 拡張:重厚ドラマ好き、ポスト・ジブリ層、海外配信ユーザー
- 年齢区分:PG-13想定(暴力は抑えず、露悪にはしない)
6. フォーマット(推奨)
配信アニメ・リミテッドシリーズ
- 1話45〜55分 × 8話(1シーズン=1冊を基本)
- まずは Season1:『影との戦い(A Wizard of Earthsea)』 を完結させる
- 成功後に、2冊目以降をシーズン更新(世界を“育てる”)
理由:原作の芯は「出来事」より「変化」。映画尺だと削るしかない。シリーズが正解。
7. コンセプト
キーワード
- 均衡(Balance)
- 真の名(True Name)
- 影(Shadow)
- 死と境界(The Dry Land)
- 海(Sea)
ルール(制作の縛り)
- 魔法は“光学兵器”ではない。言葉と代償として扱う。
- 竜は「怪獣」ではない。別の位相の知性として出す。
- 派手なカットより、風・水・沈黙・距離で世界を感じさせる。
8. ストーリー方針(Season1 全8話)
原作1巻の骨格に沿い、ドラマとして強くする(※固有名詞は原作表記準拠で整理)
1話:島の少年、才能、傲慢、破局(影の解放)
2話:師との時間/“名”の意味/恐怖の芽
3話:旅立ち/各島の文化差を見せる(世界紹介回)
4話:影の追跡/逃げるほど濃くなる
5話:海の章(船旅を核にする)
6話:竜/言葉の届かない相手との対峙
7話:死者の国の入口(クライマックス前)
8話:影に“名”を返す/均衡の回復/静かな帰還
9. キャラクター設計(要点だけ)
- ゲド:才能=正しさではない。傲慢→恐怖→受容の変化を丁寧に。
- 師(オジオン等):説教しない。“見せる”導き。
- 同行者:説明要員にしない。各話で「均衡」の別の側面を担う。
- 竜:怖いが、低俗にしない。“上位存在”の気配を保つ。
10. ビジュアル&音
- 色:島ごとに空気が違う(湿度・土の色・植生で差を出す)
- 海:CGに頼り切らず、手描き/2D表現で“水の重さ”を作る
- 音:BGMは盛り上げすぎない。風、帆、波、沈黙を主役にする
- 主題歌:強いメロではなく、余韻型(多言語展開しやすい)
11. 差別化ポイント(勝ち筋)
- 原作の順序とテーマを守る(混ぜない、急がない)
- 海を撮る(アースシーの主役は海。ここで勝つ)
- アクションで誤魔化さず、内面の変化で見せ切る
- 世界観監修を厚くし、文化・言語・命名を作り込む
12. 制作体制(想定)
- ショーランナー:原作理解が深い脚本統括(ファンタジー経験者)
- 監督:空気演出に強い人(静と動の設計ができる)
- 監修:
- 原作権利元(エステート/出版社)
- 翻訳・言語設定(命名ルールの整合)
- 海洋/帆船の所作(リアリティライン)
13. マーケ/展開
- ローンチ前:
- “海”のティザー(30秒)→ 世界の空気だけ見せる
- “真の名”コピーで刺す(例:「名前を呼べ。影が止まる。」)
- 連動:
- 原作新装版/図説、設定資料集
- サントラ(環境音重視)
- アートブック(島別の風景)
14. スケジュール(ざっくり)
- 開発(脚本・設定):6〜10か月
- プリプロ:4〜6か月
- 本制作:12〜18か月
- 仕上げ:3〜5か月
※シリーズは最初の設計が全て。脚本に時間を使う(ここを削ると終わる)
15. 予算レンジ(目安)
- 45〜55分×8話の高品質アニメは、通常TVアニメより上のレンジになる想定
- 重要:予算を“作画枚数”に振るより、美術・撮影・音・海表現に集中投下する
16. リスクと対策
- 権利状況が競合する可能性(2019報道案件)
→ 最初に権利クリア。ダメなら「別企画(オリジナル多島海ファンタジー)」にピボット可能な設計も同時に用意。 - 原作ファンの警戒
→ “混ぜない・急がない・海を撮る”を明文化し、監修体制を前面に出す。 - 退屈に見えるリスク
→ 各話に「島の文化の違い」「選択の代償」を置き、静かな密度で引っ張る。
